2015年7月12日日曜日

学童保育の障がい児担当に無資格のパートアルバイトが多い理由

 芸術家、岡本太郎は「人間なんてみんな身体障害者なんだ」という言葉を残しています。誰だって欠けているところや足りない部分があるという意味だと思います。
 児童の場合、人と違っていると判断されたら、それは障がい児になってしまうのが現状です.例えば、多動性であったり、自閉的で周囲とコミュニケーションが取れないとかです。学童の中でも障がい児に該当し、大人がついて見るすなわち障がい児担当が必要になります。ここで疑問に思うのが、その障がい児担当をしている方が、無資格のパートアルバイトであるケースが多いということです。
 学童の中の仕事として、皿を洗う、トイレ清掃をする、ゴミ捨てに行く、草をむしる、おやつの買い出しに行く、これらは業務の力量が狭い無資格のパートアルバイトが行うのは当然と言えます。しかし、無資格のパートアルバイトが専門的な能力が問われる障がい児担当になるというのは、どう考えても理解ができません。これらをパートアルバイトが問題提起すると施設長や正規職員は「本当は私たちが見たいんですけど、やることがたくさんあって見れないんです。だからお願いしているんじゃないですか」になるので議論になりません。では保護者が問題提起したらどうでしょうか。おそらく「申し訳ございません。人材不足で」とか「上にかけあってみます」になると思います。保護者に対し「うちの障がい児担当は無資格のパートアルバイトですけど、大丈夫です。ご心配なく」と声高らかに宣言する施設長や正規職員はいないでしょう。
 ではなぜ学童の障がい児担当には無資格のパートアルバイトが多いのか。その背景には一体何があるのでしょうか。学童をいくつか運営している事業主の本部や事務局で面接があり、採用が決定される場合、配属させる学童内の事情を本部や事務局の採用担当者が詳しく把握していない事があります。そうするとハローワークの求人票にも障がい児担当とは明記されていない、面接でも障がい児担当の話は一切ない。にもかかわらず、いざ配属された学童に出勤すると、そこの施設長からいきなり障がい児担当を命じられる。

施設長「A君を担当してもらいます。多動性で落ち着きなく動き回ります。自閉症でもあります。それから彼は良く人を見ますからなめられないようにしてくださいよ」

アルバイトB「すいません。そういった経験がないのですが・・・」

施設長「いえ、やってもらわないと困ります」

これでは働く側も納得できるはずはありません。このような事態が起きるのには理由があるはずです。学童を運営している事業主が障がいなんて関係なく、すべてを受け入れている混合保育を行っていると、どうしても人材の確保が課題になります。人間性悪説で考えてみると、わざと無資格のパートアルバイトを使っているのではと勘ぐってしまいます。

①無資格=無知である=使いやすい

②無資格であるため低賃金でコストを抑えられる

③単純に正直に明記し募集しても集まらないから、求人票にも面接でも、障がい児担当とは打ち明けず隠している

 とにかく採用担当者は人材を確保しなければ運営が立ち行かないわけですから、「だれでもいいから、週5週6で入れる人いないか」となるのです。そして僕は学童保育の障がい児担当に無資格のパートアルバイトが多い理由はこの点にあると考えています。こうなってくると障がいのある子どもは何だか気の毒になってしまいます。
 上記のアルバイトB君の目線で考えた時、「障がい児担当なんて聞いてなかった。もしもこのA君が自分の元からすきを見て施設の外へと逃げ出し、事故にでも巻き込まれたらどう責任を取ればよいのか」という心理状態になります。そして本当に事故が起きてしまった場合、施設長の責任になり退職するのでしょうが(当然アルバイトB君も辞めなければならないでしょう)、辞めれば済む話ではありません。保護者は「なんで何も資格を持たないバイトがうちの子どもを見ていたんだ(怒)」となりますし、アルバイトB君にだって人としての心があるわけですから、一生後悔をひきずって生きていくに違いありません。そして最もつらいのは事故に巻き込まれたA君なのです。

 理想は、障がいのある子どもがなついた大人を担当にするとか、そこで働く大人たちが日替わりで見る形なのではないでしょうか。


『学童指導員は子どもがいない時間に何をしているのか』☟
http://tundereboyz.blogspot.jp/2014/12/blog-post_22.html
 

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